※【免責】このTCXOの製作,使用は100%自己責任でお願いします。
2011年5月26日
最近,大阪では毎週末430.190MHz付近でCWを聞くことができることもあり,
144/430MHzでCWを聞く機会が多くなっている.
うちのFT-817にはオプションの「高安定温度補償水晶発振器」を入れていないためだろうか.
FT-817を使って144MHzや430MHzのCWを聞いていると,
周波数がピタリと決まらずに,ふらふらと動いていることが多々ある.
PSK31でも同様にふらふらと動く.
いわゆる,QRHというやつでしょうか.
相手が安定していないのか,自分が安定しないのわからないが,
精神衛生上よろしくない状態である.
自分の周波数が動いているのであれば,
相手局にも迷惑をかけていることだろう.
うちのFT-817に「高安定温度補償水晶発振器」を入れてやらねばなるまい.
メーカーがオプションとして用意している「高安定温度補償水晶発振器」は,
温度に依存して発振周波数がずれてしまうことを抑えた,
「温度補償型水晶発振器(temperature-compensated crystal oscillator)」
俗にいうTCXOである.
純正オプションのTCXOを購入する選択肢もあるが,
興味本位でFT-817(FT-897も同じ設計のようです)を作ってみることにした.
選択したTCXOの周波数安定度は,±0.5ppm(25℃)と,純正品と同じである.
(ただし,-30~+75℃では±2.5ppm)
折角の機会なので,プリント基板を設計してみた.
後は,プリント基板が出来てきてからのお楽しみ.
下図は,プリント基板CADの3Dビュー.
2011年6月8日
プリント基板が出来てきた.
早速,作ってみた.
1時間ほどで,部品実装とFT-817のクロックの換装が済んだ.
夜430.190MHzのCWで,実際に運用して安定度の向上を確認してみました.
430MHzでのCW運用だと,周波数がふらついてるかどうか良くわかります.
数局CWでQSOしてみたところ,周波数が動いている局と,
ピタリと止まっている局の2種類がありました.
TCXOを装着する前は,どの局も動いて聞こえていたので,
こちらの無線機にTCXOを装着後に周波数が動かない局は,
恐らくTCXOなどを装着されている高安定度な局なんでしょうね.
プリント基板と部品が余分にありますので,ヤフオクに出品しています.
落札していただいた方ありがとうございます.いかがだったでしょうか
FT-817とFT-897のみで動作確認いたしましたが,その他の無線機の情報など是非お知らせ下さい.
また,常時オークションに出品する余裕がないため,ショップでも扱っていただいています.
ショップ扱いのものは完成品(キットではありません)の在庫販売です.ショップのURLは,下記です.
http://hobbies.misystems.co.jp/
以下は,頒布のプリント基板と部品で製作される方向けの製作ガイドです.
実装する部品.
TCXO(X1)
上がコネクタ(左J02,右J01),下は左からフェライトビーズ(FB1),平滑コンデンサ(C1),バイパスコンデンサ(C2).
小さなチップ部品は,いわゆる1608サイズ(1.6mm×0.8mm).
用意した工具類(鉛フリーハンダ0.3mm,ピンセット,ソルダーアシスト)
・ハンダ:十分に細い方が良い.鉛フリーハンダは急にサラサラに溶け,冷めると急に固まるので,鉛入りハンダより使いにくい.
・ピンセット:HOZANのP-87を使ったが,チップ部品(特にフェライトビーズ)は磁気だか静電気だかを帯びていることが多く,ピンセットにまとわりつくので使いにくい.非金属製のものが良いかもしれない.
・ソルダーアシスト:チップ部品を押える時に,goot SA-10セットに含まれている”ニードル+フック”を使っています.
・ハンダごて:写真にはありませんが,ANTEX 660TC+TC-25を使っています.温度コントロールができるハンダごてコントローラと25Wのハンダごての組み合わせです.温度コントロールができるタイプ,25W前後,細いこて先のものが使いやすいです.
①TCXOを実装
・4つフットプリントにごく少量のハンダを流す.
・TCXOをプリント基板の1ピンマーク(○)同士の位置に注意して向き,位置を正確にあわせて置く.
・横からコテ先でハンダを溶かして仮固定する.
・仮固定できたら,ハンダ付け状態を横からしっかり確認し,ブリッジなどの問題なければ少しだけハンダを追加する
②フェライトビーズを実装
・FB1のフットプリントの片側にごく少量のハンダを流す.
・FB1の位置にフェライトビーズを正確にあわせて置く.
・ハンダを流したフットプリントにコテ先あて,ハンダを溶かして仮固定する.
・仮固定できたら,FB1の両方のフットプリントにハンダを流す.
③バイパスコンデンサを実装
・C2のフットプリントの片側にごく少量のハンダを流す.
・C2の位置にバイパスコンデンサを正確にあわせて置く.
・ハンダを流したフットプリントにコテ先あて,ハンダを溶かして仮固定する.
・仮固定できたら,C2の両方のフットプリントにハンダを流す.
④平滑コンデンサを実装
・C1のフットプリントの片側にごく少量のハンダを流す.
・C1の位置に平滑コンデンサを正確にあわせて置く.
・ハンダを流したフットプリントにコテ先あて,ハンダを溶かして仮固定する.
・仮固定できたら,C1の両方のフットプリントにハンダを流す.
⑤オープン/ショート確認
・電源ラインの確認:FBの両側とX1(TCXO)の4番ピン(C2傍)が導通しているのを確認.
・グランドラインの確認:C2のプリント基板の端側とX1(TCXO)の2番ピン(J01のシルク傍)が導通しているのを確認.
・C2の両側が導通していないことを確認.
⑥コネクタを実装
・コネクタはTCXO基板の下側からのピンを受けるようになっている.プリント基板のスロット(長穴)が隠れるようにコネクタがつきます.
・J01(3ピン),J02(4ピン)のコネクタを向きに注意して仮ハンダ付けします.
・FT-817の電池を取り出し,電源コードなど,すべてのコードを外し,フタをあけ,標準のクロックボードを外して,仮挿しして,物理的な問題がないか確認した方が良いです.
TCXO基板完成(右は標準のクロック基板)
FT-817の標準クロックをTCXOに換装.
TCXOの動作確認.
・TCXOの装着が済んだら,電源が問題なく入るかどうかすばやく確認する.
・異臭,発煙,発熱がないか速やかに確認する.
・問題があれば,直ちにTCXOを外し,原因を究明します.
・問題なければ,ローカルFM放送など,安定に受信できる局でVFOの動作を確認する.
【TCXOの調整】
このTCXOには周波数調整用のトリマがついています.
TCXOの仕様では,±3ppmの範囲で調整可能ですが,私は工場出荷状態のまま無調整で使用しています.
工場出荷時設定周波数は,±0.5ppm/+25℃±2℃です.
【回路の説明】
FT-817のクロック基板には+5V電源,グランドが来ていて,クロック基板からは22.625MHzクロックを戻す仕様になっている.
最近の純正TCXO(TCXO-9)では,TTS01NSが使われているという話があるようだが,
TTS01NSはデータシートに電源電圧3.0V±5%と記載されている.
今回は,電源電圧3.0VのTTS01NSではなく,電源電圧+5Vのものを入手した.
また,
純正TCXOは,カップリング用のコンデンサがつくのみであるが,
+5V電源ラインには,高周波カット用にフェライトビーズを挿入した
【チップ部品の見分け方】
・フェライトビーズ:導通してます
・平滑用コンデンサ:導通してないのがコンデンサ,大きい方が平滑用.無極性
・バイパス用コンデンサ:いわゆるパスコン,導通してないのがコンデンサ,小さい方がバイパス用.無極性
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