FT-817/FT-897用フィルター基板




Last Update: 04/29/2014

※【免責】このフィルターの製作,使用は100%自己責任でお願いします。

2011年10月20日
 コリンズのメカフィル(バンド幅500Hz)が手に入ったので,早速作ってみました.
(上が今回実装したもの,下は以前実装した純正オプションで使われていたメカフィル)


 早速,何度も差し替えてみて7MHzでCWを聞き比べしてみました.
あくまでも主観ですが, 通過バンド幅はほぼ同等,どちらもしっかり切れます. そして,エッジでは今回試したものの方がまったり落ちている感がしました. また,純正オプションから外してきたものは全体的にドライな感じの音で”カラカラ系”, 今回実装したものは,ウェットな感じで少し甘い感じでした. 特性的な優越は別として,落ち着いて聞ける感じの方向性だと思います.

2011年9月6日
 先日,FT-817用のTCXOを作り,組み込んだ. その際に見たオプション装着用のスペースが妙に気になりました. FT-817には1つ,FT-897には2つ, オプションフィルターを装着するための空きスロットがある.
 純正やサードパーティが用意しているフィルタにはいろいろあるが, FT-817には空きスロットが1つしかないわけで, 果たして,どれを組み込んで良いのか悩ましいです. もちろん,あらゆるフィルターを買い揃えて試すとなると費用もバカにならないです.
 そこで,FT-817にいろいろなフィルターを装着してみるべく, FT-817用のフィルター基板を設計してみました.
 当然だが回路設計は,純正のフィルターを踏襲した. コリンズ製のメカフィル(大きさは2種類)に対応している. 前回TCXOを作った際,チップ部品はもう少し大きくしたいと思ったので, 今回は,大型の3216(3.2mm X 1.6mm)タイプにしました. 信号入力はT型のアッテネーターで少し落すようになっています. また, 純正のフィルター基板には, フィルターの種類を判別するためと思われるIDを設定する回路があります. FT-817では,このIDを無視しているようで, サードパーティ製のフィルター基板では, このIDの設定変更ができないものもあるようだが, 今回は,素直にIDを設定する回路も加えました.
 当初,FT-817にあらかじめ内蔵されている, 標準のフィルター(ムラタ製CFJ455K14)と同じタイプのフィルターやその他の市販フィルターへの対応, セラロックを用いたラダー型のフィルタを載せる設計としましたが, パターンがごちゃごちゃする上に, すでに入手できないフィルターが多かったため, 結局,前述のコリンズのメカフィルだけに対応し, その他のフィルタは寝かせて固定するなどの方法で実装することにしました.
 後は,プリント基板が出来てきてからのお楽しみ.
下図は,プリント基板CADの3Dビュー.




2011年6月8日
プリント基板が出来てきた.

早速,作ってみた.
R1,R2,R3は,T型のアッテネーターになっていて,R1=R3=180オーム,R2=6.65Kオームとしました.



R4,R5,R6はフィルタのID(ID0,ID1,ID2)を設定するジャンパ(0オーム抵抗)です. FT-817の回路図をみる限り,これらの信号は無視されているようなので, FT-817でのみ使う場合には,R4,R5,R6は実装しなくてもいいと思われます. 今回は,純正のCWフィルターと同じくR5のみ実装しました.
C1,C2はフィルタの入力,出力信号とグランド間のコンデンサです. C1=C2=30pFが良いのではないかと思われますが,今回は実装しませんでした.

【重要な注意】 オプションフィルタの裏側は無線機の基板との隙間があまりないので, フィルタ基板の裏面にはチップ部品やフィルタの足が飛び出すのは危険です. FT-817側は,純正のオプションフィルタに対して,フィルタの足が飛び出す可能性がある部分は, しっかりパターンが逃げていますが,今回の基板と純正のオプションフィルターはピンの位置が違うので, この基板を使う場合には,フィルタの足の飛び出した部分を切り揃えたり, 薄型のチップ部品を使うなど,十分に注意が必要です.

さて,10分ほどで,チップ部品の実装が完了しました. そして,手持ちのコリンズ製メカフィルCW用(BW=500Hz)を実装.
早速,FT-817の蓋をあけてフィルタの装着してみました.
フィルタ装着後は,"F"長押しで設定モードに入ってから SELを回して"38"番の"OP FILTER"を"CW"に設定します. これで,CWモード運用時に, ファンクションの"NAR"でオプションのフィルタ切り替えができます.

【フィルタの効果】
今日は土曜なので,7MHz CWも沢山聞こえます.
強い局がいると,かなりの範囲でバサバサとかぶってきます.
"NAR"にしてフィルターを切り替えると,当然ですが,さすがにバッサリ切れますね.
今後,違うフィルタを試してみたいと思います.

この基板を使いたい人がどれほどいるか謎ですが, とりあえず,いくつかあるので,ヤフオクに出してみます.
落札していただいた方,ありがとうございます. 試されたフィルタや,気づかれた点など,是非お聞かせ下さい.

後日,何度かリクエストをいただき,ヤフオクに出点しましたが, 常時オークションに出品する余裕がないため,TCXOと同様, ショップで扱っていただくことになりました.
ショップで在庫販売のものは,未組立のキットです.ショップのURLは,下記です.
http://hobbies.misystems.co.jp/

以下は,頒布のプリント基板と部品で製作される方向けの製作ガイドです.

実装するチップ部品(表面実装).
R1,R3=180オーム抵抗(マーキングは1800)
R2=6.65Kオーム抵抗(マーキングは6651)
R5=0オーム抵抗(マーキングは000)

(実装部の拡大)


チップ部品の他に,コネクタ(左J02,右J01)を実装します.
(完成した基板に手持ちのメカフィルを実装した写真,)

(工具の説明は,TCXOと同じです)
用意した工具類(鉛フリーハンダ0.3mm,ピンセット,ソルダーアシスト)
・ハンダ:十分に細い方が良い.鉛フリーハンダは急にサラサラに溶け,冷めると急に固まるので,鉛入りハンダより使いにくい.
・ピンセット:HOZANのP-87を使ったが,チップ部品(特にフェライトビーズ)は磁気だか静電気だかを帯びていることが多く,ピンセットにまとわりつくので使いにくい.非金属製のものが良いかもしれない.
・ソルダーアシスト:チップ部品を押える時に,goot SA-10セットに含まれている”ニードル+フック”を使っています.
・ハンダごて:写真にはありませんが,ANTEX 660TC+TC-25を使っています.温度コントロールができるハンダごてコントローラと25Wのハンダごての組み合わせです.温度コントロールができるタイプ,25W前後,細いこて先のものが使いやすいです.


①チップ部品(表面実装)R1,R2,R3,R5(今回はCW用ナローフィルタのためR4,R6は実装していません)のハンダ付け
・チップ部品をつけるランド(パターン)にごく少量のハンダを流し,半田メッキします.
(今回は,プリント基板を半田メッキ仕上げしていませんので,部品実装時に半田メッキします)
・チップ部品を半田メッキしたパターンに正確にあわせて置く.
・横からコテ先でハンダを溶かして仮固定する.
・仮固定できたら,ハンダ付け状態を横からしっかり確認し,ブリッジなどの問題なければ少しだけハンダを追加する


②コネクタを実装
・コネクタは基板の下側からのピンを受けるようになっている.プリント基板のスロット(長穴)が隠れるようにコネクタがつきます.
・J01(3ピン),J02(4ピン)のコネクタを向きに注意して仮ハンダ付けします.
・FT-817の電池を取り出し,電源コードなど,すべてのコードを外し,フタをあけ,仮挿しして,物理的な問題がないか確認した方が良いです.


③フィルターを実装
・プリント基板の穴(パターン)は,純正のオプションフィルターで使われている2種類のコリンズ製メカフィルにあわせてあります.これらのメカフィルと同じタイプのものは普通に実装できます.
・オプションフィルターの基板と無線機本体の基板との間は狭いため,裏面に実装した部品やフィルターの足が無線機本体の基板と接触しないよう,十分に低くなるように注意して下さい.場合によっては,突き出たフィルターの足はカットした方が良いです.


オプションフィルター動作確認.
・オプションフィルター装着が済んだら,電源が問題なく入るかどうかすばやく確認する.
・異臭,発煙,発熱がないか速やかに確認する.
・問題があれば,直ちにオプション・フィルターを外し,原因を究明します.
・問題なければ,FT-817の設定を変更してオプションフィルターを切り替えて使えるようにします.

【FT-817の設定変更(CWナローの場合)】
・"F"長押しで設定モードに入ってから SELを回して"38"番の"OP FILTER"を"CW"に設定します.これで,CWモード運用時に,ファンクションの"NAR"でオプションのフィルタ切り替えができます.


【回路の説明】
FT-817本体からの信号(IF)は,455kHz中心としてオプションフィルタ基板へきます. オプションフィルタ基板では,まずT型のアッテネーターを通り, フィルタへ入力されます. R1,R2,R3が,T型のアッテネーターになっています.
今回は,R1=R3=180オーム,R2=6.65Kオームとしました.



フィルタの入力信号と出力信号とグランド間には,コンデンサ(C1,C2)が入ります. 今回C1,C2は実装していません.

【チップ部品の見分け方】
・コンデンサ:導通してないのがコンデンサ.無極性
・抵抗:無極性,テスターで抵抗値が測定できます.数字で抵抗値が印字されているものがあります.



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